原子爆弾とは〜注91

公開: 2019年10月17日

更新: 2019年10月19日

注91. ガンバレル型ウラニュウム爆弾

イギリスのチューブアロイズ計画で、ドイツから亡命した研究者たちによって提案されたウラン235を使う小型化が可能な原子爆弾をガンバレル型と呼びます。これは、大砲の砲身のような長い筒状の円筒の片方に爆薬を置き、円筒の中心に中空の容器に詰めたウラン235を置きます。そして、円筒の反対側に核分裂を起こすウラン235を詰め込んだ小型の容器を置きます。爆薬を爆発させると、その爆発で生じた力で、真ん中に置いた中空の円筒状の容器が、逆の端に置かれたウラン235が入った容器に向かって高速で動き、衝突します。この衝突で中性子を作り出し、放出された中性子で次の分裂を起こすと言う核分裂の連鎖(臨界と呼びます)を生じさせる仕組みです。

このガンバレル方式の原子爆弾は、臨界状態を作り出すために必要な量以上の核物質(ウラン235)を爆弾内に詰め込むため、核爆発事故が起き易く、取り扱いが難しいと言う欠点があります。そのため、米国軍では最終的に、長崎に投下された爆縮レンズを応用したプルトニュウム型原子爆弾が生産されました。

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